「幸福否定の構造(笠原敏雄)」(参照)は以前から読んでみてはと勧められていた本だが、結果からすると私はこの著者を別の青年心理の専門家と勘違いしていたことや、なんとなくという敬遠する気分から、まだ読む時期ではないような気がしていた。が、ふと、今読むべきだと思って読んでみた。その直感はある意味で正しかった。というのは、私は最近密かにベルクソニアンを深めつつあり、その背景からより深く読み込めた部分がある。 さて、ここで言うのは少し気が引けるのだが、本書は、一般向け書籍ということを考慮しても、精神医学の分野の書籍としてはトンデモ本だろう。おそらくこの分野に関心があり、所定の基礎知識を持っている人には受け付けないだろうとも思う。 では、この本は、いわゆるトンデモ本のように笑い飛ばすことが目的かというと、そうではない。そうではないのは、この本で開陳されている理論はおそらくかなりの実効性を持つだろうと思