前回のレビューの解釈の妥当性をめぐっていささか疑問が出てきた部分もあるので、全面的に改訂することにした。今回レビューする第十八回というのは五月五日放送分の「尚之助との旅」であります。 慶喜が将軍職に就いたことで国のあり方をめぐって佐幕派と倒幕派の対立が鮮明になる。ちなみに八重の桜では「なじょなる?」という言葉が頻発するが、あれを会津弁だと勘違いしてはいけない。あれは「national?」と言っているのだ。つまり、幕末から維新期を駆け抜けた人々が「近代国家とはなにか?」というアポリアを自らに問いかけているわけだ。ここが八重の桜の肝となっている。 さて、いきなり話が本質的な部分に行ってしまって申し訳ない。とにかく、佐幕派と倒幕派の対立が鮮明になるなか、ど佐幕派の会津に危機が及ぶ可能性を察知した尚之助は自らの眼で会津の守りを確かめるべく藩周辺の視察に出る。1867年秋のことである。背炙山などを回