子どもの6人に1人が貧困状態といわれる。村尾政樹さん(25)は、「子どもの貧困」に取り組む公益財団法人「あすのば」立ち上げメンバーで、事務局長を務める。小6のとき、母親を自殺で失い、「貧困」におちいった。しかし多くの出会いや支えを受け、特に自分より年下の仲間の言葉に共感し、今に至る。 「見えない貧困」 「まーくん、写真撮ろう」。神戸市の小学6年生だった春。ストレスなどで病気を患っていた母親は、この日体調がよく、地域のお祭りに一緒に参加した。しかし村尾さんは、写真撮影を断った。「母親っ子」だった村尾さんは、体調を崩して家事も滞りがちだった母親に、冷たい態度をとっていた。 1週間後。「いってらっしゃい」という声かけに答えず、小学校へ向かった。その日、母はこの世を去った。 家族は、父親のほか姉と弟、障害を抱えるおばがいた。父親は貿易関係の会社員。早朝5時に出勤し、子どもが就寝時に帰宅する生活は、