「3Dテレビ元年」ということが喧伝されはじめる直前まで、2010年が「電子出版元年」と言われていたことをおぼえておいでだろうか。 結果は、いずれも空振り。モノ離れ元年。特に電子出版元年の方は、iPad(アイパッド)の需要が一巡すると完全に忘れられた。 なぜだろう。 電子出版元年報道が羊頭狗肉かつ竜頭蛇尾の様相で推移してきた理由は、おそらく、家電業界が電子情報端末の需要に期待している以上に、既存メディアが電子出版の未来に不安をおぼえたからだ。新聞雑誌およびテレビの皆さんは、活字情報が電子化されることに、本能的な反発を感じているのだ。いや、反発というよりも、より端的に恐怖かもしれない。木の洞から出た尺取り虫がはじめて鳥を見た時の感じ。 「ん? あいつらの口元はなんだかやけに不吉なカタチをしているぞ」 と、ニュースが入ってきた。 「電子書籍の市場拡大を前に、国内の主要459出版社が加盟する日本書