鈴木清順『ツィゴイネルワイゼン』 死人のようなのに、一番元気に動き回る、原田芳雄。 初めて見た時の衝撃は未だに忘れられないですね。 初めて見た清純の作品は『けんかえれじい』で、高橋英樹のほとんど初主演くらいの作品だったと思いますが、はち切れんばかりのエネルギーの通奏低音に、軍部の台頭という、暗い世相が描かれている傑作で、恐らくは清純監督自身の青春時代が反映した作品なのでしょう。 コレに対して、『ツィゴイネルワイゼン』はたまげました(笑)。 一見、同じ監督とは思えないほどにアナーキーでデカダンで死の匂いが全編に充満した、とても異様な作品で、こんなの見たことがない(笑)。 大正デカダンを独自の視点で蘇らせる手腕が素晴らしい。 戦前の有閑階級のお話しで、やたらとメシを食っているシーンばかりが出てきて(コレがやたらとう美味そうなんです)、あくせく働いている気配が全くなく、登場人物は何だかみんな生き