「なんておもしろいの!」 この本を読んでいると、ページをめくるたびにこの一言が口をついて出る。 戦国時代を専門とする著名な学者・小和田哲男氏が時代考証にあたった大河ドラマ『江〜姫たちの戦国』で、こんなことがあったそうだ。浅井長政の小谷城が織田信長に攻め落とされる場面。 最近の研究では、小谷城は実際には燃えていなかったことが判明している。小和田は炎上シーンは描かないように要請した。しかし番組スタッフは、城が燃えていないと、落城が一目でわからないから、少しだけ火をつけさせてほしいという。小和田はしかたなく「少しだけですよ」と念を押したが、放送を見ると、城は見事に…… 小和田教授は「小谷城が焼けてないこともしらないのか」という不名誉を被ったというから辛い立場である。 秀吉の「一夜城」といえばドラマには欠かせない名場面である。ところがなんと。この「一夜城」の存在は、現在の研究では全面的に否定されて
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