2015年9月、読売新聞東京本社は同年度の新聞協会賞を受賞した。受賞理由は「群馬大学病院での腹腔鏡手術をめぐる一連の特報」である。その特報取材班のリーダーだったのが本書の著者である高梨ゆき子記者だ。 その特報とは、10年から14年にかけて群馬大学病院第二外科で行われた腹腔鏡手術後に、8人もの患者が相次いで亡くなっていた事実をスクープしたものだった。 執刀したのは当時40代の外科医。この医師はほぼ同時期に行った開腹手術でも10人もの患者の命を救うことができなかった。死亡率は11.9%。なんと全国平均の3倍に及んだ。 事件なのか事故なのか。医師個人の力量不足や過失として片付ける出来事なのか。そもそも大学病院運営や日本の外科手術そのものに問題はなかったのか。14年11月14日付のスクープ記事を発端として、日本の医療に対する不安が広がった。 読売新聞による一連のスクープと、壮絶な報道合戦のはてに、
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