朝井リョウさんの小説「ままならないから私とあなた」を読んだ。 小学生の時からの親友同士が大人になるまでを描く表題作「ままならないから私とあなた」、体育会系で仲間には何もかもさらけだせる、と信じていた男が知らない世界の一面を知る「レンタル世界」の2編が収録されている。 どちらも主人公の視点から見ていた「正しく美しく優しい」筈の世界がラストでくるり、とひっくり返る所が面白い。 人の見方も価値観も様々で、ままならぬ世界を私達は生きている。そんな物語。 朝井リョウさんの小説はいつも平易な文章で読みやすくテーマも現代的、それなのに「引っかかり」が残る部分はどこか古典的で正統派だ。 そんなバランス感覚が彼の小説を面白くしているんだと思う。 短編と中編で構成された今回の一冊も、サクサク読めるのにとても面白かった。 「レンタル世界」あらすじ 「レンタル世界」の主人公、雄太は20代の会社員。 ラグビー部出身