大衆薬として広く使用されている正露丸の有効性と安全性、特に安全性について重点的に検討し、TIP誌1999年8.9月合併号に記載したので紹介する。 【四倍量で腸壊死と腎不全】 通常用量の四倍量を服用して、麻痺性イレウスと腸壊死、貧血および腎不全のため手術および透析を実施した例(放置されれば死亡した可能性が強い)が報告されている。また、240錠右を自殺目的で服用後、血中非結合型クレオソート濃度約 500μg/ml(以上)で意識消失と溶血をみとめ、透析がなされた例が報告されている。 【主成分はフェノール・クレゾールなど】 正露丸は木タールより製造したクレオソートを主成分とするが、このクレオソートは、フェノール、クレゾール、グアヤコール、クレオソール(メチルグアヤコール)などを主成分とするフェノール系化合物の混合物である。 【フェノール類は原形質毒】 フェノール化合物は、高濃度では原形質毒であり、