ゲイの人々の間には「ノンケっぽい(ゲイではない男性っぽい)」という代表的な褒め言葉がある。これは「あなたって自然な感じで男性性(オトコ)を携えていらっしゃるんですね」という意味で、それだけ皆“オトコ”への憧憬と渇きがある世界なのだろう。僕も恋の終わりくらい、良い男として“オトコ”らしく締めたかった。 だけどそれも無駄だった。帰り道でどうしても気になってしまうのはパジャマ姿でコンビニで立ち読みする男女のささやきや、夜の公園で青く光るブランコ、小さく寒そうにしている月で、聴きたくなるのは断然「aiko」。失恋した僕の中で泣いてるのは“オトコ”というより完全に“オンナ”だった(ゲイの人は皆そんな感覚、というわけでは全くないが)。 ちなみに聴いていたのは「三国駅」だ。aikoの出身大学の最寄り駅であり、実は僕の地元でもある。僕とaikoは同じ水を飲んで育ったわけだ。もしかしたら気付いてないだけで僕