家族を知らずに育った子ども 「小学6年生になっても哺乳瓶で飲みたがり、赤ちゃん言葉で甘えてきて、私が食べさせないとご飯を食べない。そうかと思ったら『てめぇ、ぶっ殺すぞ』と声を荒げる。赤ちゃんとヤクザがコロコロ入れ替わるような多重人格でした。 学校でも女の子なのに友人によく殴りかかっていて、学校の先生には『こんな小学生、見たことない』と驚かれました。年不相応に卑猥なことを言ったり、とにかく育てにくい子でしたよ」 そう語るのは、15年間里親をしてきた竹林美穂さん(仮名、40代)。美穂さんは30代前半に里親を始め、障害児など課題を抱える子どもたちを複数家庭に受け入れてきた。 さまざまな障害を抱える子どもたちを養育してきた美穂さんが一番頭を悩ませたのが、3人目の里子として受け入れた怜ちゃん(仮名、当時9歳)だった。 怜ちゃんは生まれたときから、竹林家に来る小学校3年生までずっと施設で育った。父は行