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日本人人質事件は、残念な結果になった。 昨年六月に登場して以来、その残虐さで国際社会を震撼させてきた「イスラーム国」が、いかに深刻な問題かを、日本は遅ればせながら実感したことになる。 この問題について、筆者はあまり語ってこなかった。少ない情報で、しかも人命がかかっていることで、あれこれ語ることがいいとは思えなかったからだ。この事件に関する日本の報道を見ていると、解決に逆効果をもたらしたのではないかと懸念する。 そもそも、国内の普通の誘拐事件だったら、ここまで情報や憶測を垂れ流しにしただろうか。こうすればよい、ああすればよい、といったコメントが、いちいち日本側の手の内、対応を犯人に晒しているとの自覚はなかったのだろうか。 犯人が海外だから、日本国内で交わされる議論は聞こえないとでも思っているのかもしれない。だが、ネットに掲載される情報は日本語でも簡単に自動翻訳にかけられるし、テレビ画像でもY
6月10日に北部モースルが陥落して以降、イラク分裂の危機が現実性を持って語られるようになった。「イラクとシャームのイスラーム国」(ISIS)勢力は、北はモースルからティクリートまでを、西はファッルージャからバグダードに向かうルートを制圧し、さらに東方のディヤーラ県まで勢力を拡大している。ISISの制圧地域が地理的に「スンナ派地帯」だからというので、「イラクの宗派別分裂」が言われるのだが、事態はより深刻だ。なぜなら、分裂は地理上の問題ではなく、現政府が一つのまとまった国家領域としてのイラクを守ろう、という意思と能力がないことが、露呈されたからだ。 モースルが陥落した際に、これを守るべきイラク国軍はさっさと逃げたと、前回のコラムで述べた。イラク国軍や警察は、イラク国民をではなく、自らの宗派や民族を守ることにばかり、専念しているのだ。それだけではない。マーリキー首相をはじめとして、政府要人たちの
今週のコラムニスト:クォン・ヨンソク [6月18日号掲載] サッカー日本代表5大会連続のW杯本大会出場、おめでとう! 近年の日本は「失われた20年」などと言われ、アベノミクスの登場までは暗い雰囲気の時代が続いていた。一方、日本のサッカーはほかの分野と違って、この20年で飛躍的な成功を収めている。98年までW杯に一度も出られなかった日本だが、今では常連国だ。女子サッカーに至っては世界一にまでなった。 この成功要因をきちんと分析し、ほかの分野、とりわけレベルが低いと揶揄される政治や外交の世界にも生かすべきだ。 日本サッカー成功の第1の要因は、W杯に出るという明確な目標を設定したことだ。そのため91年にプロサッカーリーグ(Jリーグ)を発足。開幕からは今年で20周年を迎えた。その草創期にはジーコやリネカー、ストイコビッチ、エムボマといった世界的スター選手や、ベンゲル監督のような名将が基礎を固めた。
このブログがアップされている頃には、ドイツは決勝に勝ち進んでいるだろうか。 2010年ワールドカップ南アフリカ大会でのドイツチームの立役者のひとりに、メスード・エジル選手がいる。甘いマスクのイケメン、21歳の彼は、トルコからの移民家族の子としてドイツのゲルゼンキルヒェンに生まれた。サッカー界に中東系移民の二世、三世が多いことは、2005年に引退したフランスのジダン選手がアルジェリア出身の移民二世だったこともあって、よく知られている。現在のドイツチームではエジルの他にも、チュニジア系のケディラなど、中東系移民出身の選手が活躍中だ。 このエジルの活躍に、トルコのナショナルチームが反応した。ヒディンク現トルコ監督(ワールドカップ日韓大会のときの韓国チーム監督)がトルコの主要日刊紙「ミリエット」で、「ドイツはエジルのパスポートを偽造した!」と述べたのである (トルコ語新聞の邦訳は、東京外国語大学の
ワールドカップ・アジア予選で次に日本代表が戦う相手、ということで、イラクの試合に注目しているサッカーファンも多いのではないか。 そのイラク、今回の予選では「ホーム」地をカタールとして連戦を戦っている。国内の治安が悪く、まだ国際試合を開催することは無理と、昨年秋にFIFAが判断したからだ。イラク側は「北部のクルド地域なら治安も安定しているし、欧米との交易や国際会議開催も盛んになっているから、他国のチームが来ても十分試合はできる」と主張して、本国での試合を申請しているが、なかなか受け入れられない。 自国でホーム戦ができないので、代わりにホーム地としているのがカタールだ。だが、この判断には、ややこしい政治問題が絡むことになってしまった。というのも、二ヶ月前、イラクのターリク・ハーシミ元副大統領がカタールに亡命、暗殺未遂事件の首謀者としてイラク政府から引渡しを求められたのに、カタールが対応しなかっ
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