この4月末、ある治療の臨床試験の開始が米国食品医薬品局(FDA)から認可された。 2011年に日本人を中心とした研究グループが開発した、新しいがんの治療法「光免疫療法」である。 開発を報告した当時の論文を振り返ってみよう。 副作用を減らしたい 米国国立がん研究所(NCI)/米国国立衛生研究所(NIH)の主任研究員を務める日本人研究者、小林久隆氏らの研究グループが、医学分野の有力誌ネイチャー・メディシン誌で2011年11月6日に報告した。 現在のがん治療では「手術」「放射線療法」「化学療法」の3つの方法が主流になっている。これらの治療にはどうしても副作用が付いてくる。 副作用を最小限にするため、がん細胞に特有の部分を狙ってがんだけを殺すように設計された「分子標的薬」が開発されてきたが、その数はまだ少ない。 研究グループは、新しいタイプの分子標的がん治療法となる「光免疫療法(PIT)