「三人寄れば文殊の知恵」という。たしかに多くの場合、何人かでアイデアを出しあえば、ひとりで考えるよりいい決断に至ることができる。しかしその一方で、いつもそうとはかぎらないこともわたしたちはよく知っている。みんなで考えたのに愚かな結論に至ってしまった、いやむしろ、みんなで考えたからこそ愚かな結論に至ってしまった――そんなケースに誰もが思い当たるふしがあるのではないだろうか。 だがそうだとしたら、集団で考えるとどうしてしばしば失敗してしまうのか。そして、どうしたら集団としてより賢くなれるのか。それらふたつの問題に、本書は行動科学の知見を用いながら迫っていく。 本書の特色は、「集団のメンバーからいかに有益な情報を吸い上げるか」という視点から上記の問題を考えているところにある。集団の全メンバーが持つ情報を足し合わせると、その情報は、そのうちのひとりが持つ情報よりもつねに多い。よって、素朴に考えれば
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