「トンちゃんに会いたい」急に連絡が入ったのは桜の咲く前だった。 会おう会おう、桜の咲く頃会おうねと約束し、それっきり彼女からの連絡は途絶えた。 しばらくして「あの約束まだ生きてる?」とまた突然メッセージがきてそこからトントン拍子に話は決まりやっと二十年ぶりの再会は果たされた。 大変だった。 大学院の長男は引きこもりになり暴力をふるうこと。 夫は無関心なこと。 同居するお舅さんたちは嫁の味付けと献立が気に入らないと食べてくれないこと。 次男はそんな家族の中で鬱になっていること。 そして彼女自身も鬱と摂食障害を繰り返している事。 それなのに彼女は「もうやんなっちゃう」と笑って他人事のように話す。 「わたし、今日だけは絶対行かせてくれないと死んでしまうって言ってきたの」 明るく彼女が話すから深刻な雰囲気にならないように相づちを打つ。 すぐ帰らないとと言っていたのに話しだしたら一気に大量の想いがと