場所はおそらく米国のどこか、いや中国のどこかのほうが可能性が高いかもしれない。男が何の変哲もないビルから出てくる。目の前に広がる都会の風景に目を向けながら、タバコに火をつける。男はそのビルの中のオフィスで、コンピュータの画面に向かって8時間、1日中ある調査をしていた。 彼は自分の上司の名前も顔も知らない。わかっているのは、この調査によって報酬を得られること、それもかなり高額な報酬が得られるということだけだ。仕事は、「Microsoft Office」ソフトウェアに対して自動テストツールを実行して、「Word」、「Excel」、「PowerPoint」に、バッファオーバーフロー、ポインタエラー、負の整数などのバグがないかどうかを調べることだ。一見、正規のコンピュータセキュリティ調査員と変わらない。正規のセキュリティ専門家と違うのは、見つけたバグをMicrosoftに報告しない点だ。 見つけた

