2010年08月28日15:16 カテゴリ本科学/文化 「近代の超克」論 サンデルが来日し、東大で講義して大盛況だったようだ。しかし彼の議論は、モダニズム批判としてはそう新しいものではなく、むしろ日本のほうが早い。その代表が、「近代の超克」と題して有名になった1942年の『文学界』の座談会である。ここではニーチェやフッサール以来の近代批判を継承し、自由主義や個人主義を否定して「アジアとの連帯」を求める議論が展開された。これを廣松渉が解説するのは奇妙な組み合わせにみえるが、彼の哲学は非常に「日本的」で、本書はその問題意識をよく示している。近代的な「負荷なき自己」がフィクションであるという認識は、この座談会に集まった面々にとっては共通了解だった。当時は、アジアを代表する「新興国」としての日本が西欧近代の価値観に挑戦する「大東亜戦争」を戦っている最中であり、その世界史的意義を確認することが彼らの
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