朝日新聞を「報道機関」と見るから腹が立つのである。今回の慰安婦問題や、東京電力福島第1原発の吉田昌郎元所長の証言をまとめた「吉田調書」の大誤報をめぐる対応や、同社の過去を振り返って、私は「実は、朝日は報道機関ではないのではないか」と思わざるを得なくなった。 保守派言論人の中には「朝日は終戦後、変身した」という人がいる。確かに、朝日は戦争中、「海鷲の忠烈、万世に燦たり」などと軍を賛美し、「鬼畜米英」と国民の反米意識をかき立てた。従軍記者の報道を大々的に報じて大きく部数を伸ばした。 だが、開戦(1941年12月)の3カ月前に発覚した「ゾルゲ事件」を忘れてはならない。 同事件では、朝日記者だった尾崎秀実(ほつみ)が首謀者の1人として逮捕された。尾崎は近衛文麿政権のブレーンとして、政界や言論界に影響力を持っていたが、実際は共産主義者で、コミンテルンの指示で諜報活動や、日本軍の北進(ソ連侵攻)を阻止
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