『選挙』『精神』などの「観察映画シリーズ」で知られる映画作家、 想田和弘さんによるコラム連載です。 ニューヨーク在住の想田さんが日々「観察」する、 社会のこと、日本のこと、そして映画や芸術のこと…。 月1回の連載でお届けします。 第35回 不幸にも「テロ事件」が日本で起きたときのために記す ドキュメンタリー映画『牡蠣工場』(観察映画第6弾、2016年2月に日本公開予定)のプロモーションなどのため、約1年半ぶりに日本へ帰国している。 着いたなり、時差ボケと風邪のためハッキリしない頭に冷水を浴びせるようなニュースが飛び込んできた。フランスの地方選挙・第1回目の投票で、排外主義的な極右政党・国民戦線が大躍進したというのである。しかも得票率は28%に上り、オランド大統領率いる社会党などを上回って首位。決選投票では振り子が逆に振れて、国民戦線が首位になった地域は出なかったようだが、危険な兆候である。