これは、是枝裕和監督の新作『空気人形』の中に登場する、詩の一節である。映画の主題のひとつ、「人と人との多義的な関係性」を表したこの一篇の詩は、等身大の“空気人形”を演じた主役のペ・ドゥナにも大きな示唆を与えたようだ。 「今回、出演を決めた理由はやはり“是枝監督と映画を撮ってみたかった”からなんですが、いただいたシナリオも素晴らしかった。特に作品全体を象徴している吉野さんの詩が心に響き、いろいろとインスピレーションを得ることができました。私の無意識の部分を刺激し、今まで気づかなかったことを気づかせてくれた詩で、完成作は“残酷だけれども美しい映画”になったと思います」 韓国を代表する実力派。いや、世界がその動向を注目するアジアの逸材。映画出演は、ポン・ジュノ監督の『グエムル/漢江の怪物』('06)以来となる。突如として心を持った空気人形が“持ち主”(板尾創路)のもとを抜け出し、さまざまな人々と