ブックマーク / d.hatena.ne.jp/zoot32 (30)

  • 『紙の月』 - 空中キャンプ

    人間関係において、他者に何かを与えるということが、いまだによくわからない。自分は長らく、与えることのできる人間になるべきだと考えてきた。見返りを期待することなく与える姿勢を持つ必要があると。純粋に、贈与をしたいという感情の発露として、与える側の人間になれないものかと思案してきたが、そのような考えはやや単純だったし、与えさえすればいいというものではないらしいと気づくまでに時間がかかってしまった。仏民族学者、マルセル・モースの『贈与論』は、世界のさまざまな民族、共同体における贈与の形態を研究したテキストだが、同書では「どんな社会においても、贈り物の性質の中には期限付きでそれを返す義務が含まれている」「十分にお返しをする義務は強制的なものである」と論じられている。モースが正しいとすれば、どうやら、返礼を欠いた贈与は両者の関係を破壊してしまうらしい。 銀行で横領した巨額の金を、恋人との逢瀬でひたす

    『紙の月』 - 空中キャンプ
    HtandJING
    HtandJING 2014/11/24
    夫に対する贈与も踏みにじられているんだよな
  • 2011年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ

    (写真は「ふりかえる」イメージキャラクターのオリーヴさんです) みなさんこんにちは。このブログを書いている伊藤聡ともうします。毎年恒例となっています「ふりかえる」企画の結果を発表します。今年は社会的に重大な事件も多発し、生活していくことの意味あいが激変した一年でもあり、みなさんのアンケート結果を読んでいると、映画を見るという行為の文脈も変わってきたような印象を受けました。今年の一月とか、なんかもうすごい昔という感じですが……。なにかと重い気分になりがちな年ですが、今回選ばれた十作品はどれもエンターテインメントとしてすぐれたものばかりですので、たのしい年末年始のDVD鑑賞の参考にしていただきたいとおもいます。このような質問内容でアンケートを募りました。 名前/性別/ブログURLもしくはTwitterアカウント 2011年に劇場公開された映画でよかったものを3つ教えてください 2で選んだ映画

    2011年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ
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    HtandJING 2011/12/26
  • プレゼント - 空中キャンプ

    12月に生まれていちばんくやしいのは、誕生日のプレゼントと、クリスマスのプレゼントをまとめられてしまうことだ。毎年この日がやってくるたびに、せめてあと一日、生まれるのが早かったらと私はおもう。これが11月30日なら、もしかするとふたつのプレゼントは別々に渡されていたのかも知れないのだ。哀れな12月1日生まれの私は、誕生日とクリスマスのプレゼントを別々にわけてもらえるよう、夏の終わりぐらいから、周囲に対してそれとなく伏線を張っていた。8歳にしてはぜいたくだけれど、私は自転車とカメラが欲しかった。誕生日に自転車、クリスマスにカメラ。自転車で遠くまで走っていって、そこで見た風景をカメラに収めたかったのだ。それができたら、もうしばらくはなにもいらないとおもっていた。 「まとめるわよ」と、12月9日生まれのお母さんは笑いながらいった。「自転車とカメラなんて、いっぺんに買ってあげられるわけないじゃない

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    HtandJING 2009/12/01
    アイコシリーズ新作!
  • 『パンドラの匣』を見たゼ! - 空中キャンプ

    HtandJING
    HtandJING 2009/10/20
    原作読まないでいったからちょっと分かりづらかったかな。女性陣えはほんとうにすてき。KIKIさんも。
  • 『空気人形』を見たゼ! - 空中キャンプ

    渋谷にて。初日。是枝裕和新作。とてもよかったです! すごくいい映画でした。是枝のフィルモグラフィーは、つねに、あたらしい方向性とアイデアで刷新されつづけてきていますが、今回はおもいきって性の暗部にも踏み込むなど、さらに新境地を見いだした感があります。とつぜん心を持ってしまった、人形の女の子の物語。 空気でふくらませる人形を恋人に見立てて同居している独身男性(もちろん夜は性行為あり)、という生々しさにもかかわらず、描き方はまったく下品ではなく、映画のたたずまいは凛としている、というあたりに、是枝監督の矜持を見ました。『ラースと、その彼女』とはまた別の方向性を持つファンタジーになっていましたが、孤独というテーマを扱う手つきには、どこか共通点も感じられました*1。ペ・ドゥナかわいい! 全脱ぎ! しかし、ペ・ドゥナのはだかがいっさい下品にならないのも、ストーリーの力だとおもいました。 この映画にで

    『空気人形』を見たゼ! - 空中キャンプ
    HtandJING
    HtandJING 2009/09/27
    ほんとうにいい映画だった。なんだか分からないけど家に帰ってからも心が揺れ続けている。アレなとこは多々あれどもペドゥナの演技(と乳首)でもう全部OK / しかし30歳であのルックスは反則過ぎるぜペドゥナ。
  • 文学フリマ終了しました - 空中キャンプ

    HtandJING
    HtandJING 2009/05/10
    3篇ともちょうおもしろかったです。ありがとうございました。
  • 『おっぱいバレー』を見たゼ! - 空中キャンプ

    渋谷にて。初日。 今はただ、信じられないことが起こった、としか言いようがありません。

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    HtandJING 2009/04/19
  • 人のからだが立てる音 - 空中キャンプ

    HtandJING
    HtandJING 2009/03/13
    「あっ、今『むぐっ』てなった。ねえ、『むぐっ』ってなったよ」/こういうときの空中キャンプ氏はキュートだと思う。
  • 神の子どもたち - 空中キャンプ

    渋谷駅前の交差点、路上に設置されたスピーカーから流れてくるのは、いくぶん抑揚に欠けた男性の声で、その声は「キリストを呼び求める人は救われます」と何度も繰り返していた。たくさんの通行人が行き交う年末の渋谷。強風で、外は寒い。信号待ちをしながら、わたしはふと気がついた。「キリストは罪を赦し、永遠の命を与える」──そう書かれた看板を持って立っていたのは、小学校五年生くらいのちいさな女の子だった。 われわれは親を選択することができない。どのような親のもとに生まれるのかを選び取ることができない。両親は、彼らにとって「善きこと」を子どもに伝えようとするし、そこにはそれぞれの親の価値観が大きく関係してくる。それはときに宗教であったり、ある種の思想であったりもする。親は「善きこと」を子どもに伝える。それはあたりまえのことで、他人があれこれと口をだす問題ではないのだとおもう。 両手でしっかりと看板を支えなが

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    HtandJING 2008/12/31
  • [映画]「百万円と苦虫女」を見たゼ! - 空中キャンプ

    渋谷にて。蒼井優主演。「いったいこれは…」と呟いてしまいそうなくらいに、蒼井がかわいらしく撮られている。「人のセックスを笑うな」で蒼井が見せた、ぶっちぎりのリアリティを期待していたのですが、今回も演技はすばらしく、彼女以外では成立しえない映画だと納得してしまう。 蒼井の場合、あるひとつのせりふを言うにしても、独特のすきまやテンポがあって、そこがリアリティに結びついているように感じる。かなり考えて、工夫しているんだなという印象があります。声の強弱をつける。せりふの途中で息つぎをする。言いよどむ。相手のせりふをすぐに返さない。「あー、あの」といったつなぎの言葉を入れる。話しながら、目線をすこしだけ相手に向けたり、またすぐに下に落としたりする。 なんとなく見ているとつい見逃してしまう、そうした細かいディテールにこそ、彼女ならではの情感が宿るような気がする。また、今回もすこしあったけど、コメディ的

    [映画]「百万円と苦虫女」を見たゼ! - 空中キャンプ
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    HtandJING 2008/08/18
    現実における他人の悪意はもっと周到で、陰湿で、目に見えないかたちで静かに忍び寄ってくるものではないか
  • 2008-07-30 - 空中キャンプ

    アイドルの中川翔子さん(しょこたん)は、子どものころにすきだったアニメ関連のおもちゃを、今になって買い直しているという。魔法少女のアニメがすきだった彼女は、今では入手困難となった、当時のおもちゃをこつこつと集めているのである。こんな感じに。 おそらく、劇中でこれらのステッキを振ると魔法が使える、といった設定の道具なのだろう。自分がまだ小さかったころに遊んでいた、こうしたおもちゃをコレクションすることで、なにか癒されるような気持ちになるのだという。こんなかわいい趣味があるのか、しょこたんには。キュートではないか、とおもった。なんかノスタルジックだしね。おそらく、こうしたアイテムに託された、子ども時代のおもいでがあるのだろう。 しかし、すこし考えてみて、なんというかよくわからなかったのは、なぜ、まだ二十三歳の若くてキュートな女の子が、ことほどさように子ども時代を懐古しているのかということである

    2008-07-30 - 空中キャンプ
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    HtandJING 2008/08/02
    しょこたんと私は同世代だが、この世代は情報伝達速度の発達とともに成長してきたわけで、10年前なんて超大昔に見えてしまうんだと思う。4年前はニコ動どころかようつべも、はてブだって無かったんだぜ。
  • オニオンパイ - 空中キャンプ

    アメリカの作家、ポール・オースターは、自らの貧乏だった過去について書くことが得意で、それはほとんど芸の域にまで達している。彼の貧乏話にはふしぎなユーモアがあり、どこか心やすらぐ要素がある。かつてそこを通り、さんざん苦労をし、ようやく抜け出すことができた湿地帯のような場所。われわれは、まちがっても自分が貧しくはなりたくないと、転落の恐怖におののき、そうならないことを一心に祈りながら、同時に貧しさを愛でている。 最悪だったのは冬の暮れから初春にかけてである。小切手はなかなか来ないし、犬は一匹さらわれてしまうし、台所にしまった物の蓄えもじわじわ減っていった。ついには玉ネギ一袋とクッキングオイル一瓶、そして前に誰かが買ったパイ皮一箱(私たちが越してきたときからあった、前年の夏の侘しい名残り)を残すばかりとなった。Lと私は午前中ずっと持ちこたえた。午後に入ってもなお頑張ったが、二時半に至ってついに

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    HtandJING 2008/07/23
    ポール・オースター/トゥルー・ストーリーズより。最近文庫でたよね。オースターは貧乏話に限らずネタ多き人生を送っている。
  • 空中キャンプ - まるっきりパラダイス

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    HtandJING 2008/07/10
    流石。
  • 白水uブックスフェア応援企画 夏の読書六選 - 空中キャンプ

    白水社という出版社から出ている、「白水uブックス」という新書サイズのがありまして、今ここが「白水uブックスフェア」をやっています。わたしは、この「白水uブックス」から刊行されているがすごく好きなのですが、ここは海外小説やエッセイなどを中心に、おもしろいがたくさん揃っています。 渋谷のBook1stでは、ちいさなスペースでしたが、平積みでフェアを展開していて、そこでわたしは、柴田元幸さんの「生半可な学者」というエッセイを買いました。今でこそ、「妄想で作りあげた架空の世界をすごくていねいに説明するエッセイ」など書いてしまうあなどれないおっさんですが、88年から91年という時期に書かれたこのを読んでみると、エッセイの筆致は若々しく、三十代前半にして、翻訳家としても、また文章家としても、すでに非凡な才能があったことがわかります。やっぱり翻訳家の人たちってエッセイがおもしろいんだよね。この

    白水uブックスフェア応援企画 夏の読書六選 - 空中キャンプ
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    HtandJING 2008/07/09
    柴田元幸さん大好き
  • 空中キャンプ - 「ライムスター宇多丸のマブ論CLASSICS」/宇多丸

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    HtandJING 2008/07/07
  • これで完ぺき、XTCのオリジナルアルバム12枚まるわかり解説! 2008-06-22 - 空中キャンプ

    わたしはいぜんからXTCというイギリスのバンドが好きだったのですが、すべてのアルバムを聴いたわけではなくて、持っていない作品もあったし、聴いたことのない曲もけっこうありました。考えてみれば、ぜんぶで何枚アルバムがでているのか、それらがどういう内容なのかもあまりよくわかっていなかった。 それで、たぶん二ヶ月くらい前あたりになるのですが、彼らのディスコグラフィーを調べてから、未聴のアルバムを何枚かまとめて買って聴いてみたところ、それまで持っていなかったアルバムにもすごくいい曲がたくさんあることに気がついた。「よし、こうなったらオリジナルアルバムは12枚ぜんぶ聴いてみよう」ということになったわけです。これがとてもおもしろかった。ここ最近はずっとXTCばかり聴いていました。そこで、まだXTCをよく知らない人に、XTCはどんなバンドで、どのアルバムがどのような内容なのかを解説していきたいとおもいます

    これで完ぺき、XTCのオリジナルアルバム12枚まるわかり解説! 2008-06-22 - 空中キャンプ
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    HtandJING 2008/06/22
    力作。良エントリ。もっとやってほしいねこういうの。
  • 「空中スキップ」/ジュディ・バドニッツ - 空中キャンプ

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    HtandJING 2008/06/15
  • おたんじょう会の粉砕 - 空中キャンプ

    誕生日を祝うのを、そろそろ止めてみてはどうだろうか。こう考えている人は、わりあいにたくさんいるのではないかとおもっている。どうしても誕生日を祝いたいのであれば、恋人や家族などのごく近しい間柄でのみおこなう。それより外側には、バースデーを持ちださない。わたしは「おたんじょう会」を粉砕するべく立ち上がった。誕生日を祝うというしきたりの見直しをつよく提案したいのである。 まずもって、誕生日を祝うという行為にはどういう意味あいがあるのか。世間的にはめでたいこととされているが、ここがよくわからない。誰にだって誕生日くらいある。生まれたからには、365日いずれかの日に誕生しているわけだ。「Aさんが六月五日に生まれた」。ここに、どういった特別な意味あいを見いだせばいいのか。三月生まれもいれば十二月生まれだっている。みんな生まれているのだ。あえてそこを掘り下げなくてもいいのではないか。どうにかむりに話題を

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    HtandJING 2008/06/06
  • http://d.hatena.ne.jp/zoot32/20080529

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    HtandJING 2008/05/29
    浜田山あたりとか似合いそう
  • 「告白」/町田康 - 空中キャンプ

    谷崎潤一郎賞を受賞した、2005年の作品。最近になって文庫化されたので読みました。とても長い小説ですが、やっぱり文体がすばらしい*1ので一気に読める。こうして長編を読んでみると、町田の文体ここまできたか、というおどろきがある。おもしろかったです。 あっ、シャツにケチャップが。気に入っているシャツにケチャップのしみがついてしまった。あー。あーもう、ってとりあえずはナプキンで拭くのだが、見るとうっすらと赤いしみが残ってしまっているのががまんならない。よりにもよって、いちばん気に入っているこのシャツが。くやしさにまみれながら、どうにかこのうっすらと赤いしみを除去できないだろうかと考え、とりあえず洗面所にいき、水をつけてから拭いてみるのだが、赤いしみはなくならず、むしろ拭けば拭くほどに、赤いしみはその範囲を拡大しているようである。さっきより悪化してるじゃんかー。つい数分前までは真っ白だったシャツが

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    HtandJING 2008/05/23