明日の神話(あすのしんわ) 長さ30メートル、高さ5.5メートルの巨大壁画『明日の神話』は、岡本太郎がメキシコシティに建築中のホテルから依頼されて、1968年~1969年に制作されたものです。 しかし、依頼者の経営状況が悪化し、そのホテルは未完成のまま人手に渡ります。壁画はその際に取り外され、メキシコ各地を転々とするうちに行方がわからなくなりました。2003年、メキシコシティ郊外の資材置き場に保管されていた無惨な状態の『明日の神話』が、岡本敏子によって奇跡的に発見されます。 描かれているのは原爆が炸裂する悲劇の瞬間です。しかしこの作品は単なる被害者の絵ではありません。人は残酷な惨劇さえも誇らかに乗り越えることができる、そしてその先にこそ「明日の神話」が生まれるのだ、という岡本太郎の強いメッセージが込められているのです。 『太陽の塔』と同時期に制作され、“塔と対をなす”といわれるこの作品は、