2023年6月18日のブックマーク (1件)

  • 鳳凰落とし #17|松田悠士郎

    狙い通り、こちらへ近づく足音のピッチが早くなった。嶋野は戸口にしゃがみ込んで息を潜めた。やがて、引き戸の施錠を解く金属音が聞こえた。嶋野は口に咥えていたナイフを右手で取り、順手でしっかりと握り直した。 数秒後、引き戸が耳障りな音を立てて軋み、ゆっくりと横にスライドした。生じた隙間から突き出されたのは、大ぶりの懐中電灯だった。その後ろにある手首にナイフの柄を振り下ろしたい衝動を堪えつつ、嶋野は尚も待った。やがて、引き戸が更に開かれ、微かな光と共に人のシルエットが侵入して来た。円形の帽子を被り、灰色の制服を身に纏った中年の警備員が、恐る恐る足を踏み出して呼ばわった。 「誰か居るのか?」 どうやらこの警備員は、嶋野がここに監禁されている事を知らされていないらしい。よく見ると懐中電灯が僅かに震動していた。嶋野はナイフを持った右手を耳の横辺りまで上げながら、警備員が入って来るのを待った。 荒い息を吐

    鳳凰落とし #17|松田悠士郎
    IDEA_JAM_U46
    IDEA_JAM_U46 2023/06/18
    脱出って、どうしても凝っちゃうね。