翌日、ワタシは昼食ちゅうしょくの為ために『喫茶 カメリア』へ入り、奥のカウンター席に陣取じんどった。ランチタイムだからか、店内はそこそこ賑にぎわっていて大悟も忙いそがしく動き回っていた。 「お待たせしましたジョーさん、いらっしゃいませ」 申し訳無さそうな顔で水の入ったグラスを差し出した大悟を手招てまねきして、ワタシは小声で言った。 「結婚式、ここでやろう。五日後」 「え!? ここでですか? い、五日?」 大悟が素すっ頓狂とんきょうな声を上げたので、他ほかの客の視線が一斉いっせいにこちらに浴びせられた。ワタシは周囲に愛想笑あいそわらいを振ふり撒まいてから、大悟の頭を軽く叩たたいた。 「変な声出すなよオマエ! こっちが恥ずかしいだろ!」 「いや、だってジョーさんが急に驚おどろかす様な事言うから」 そりゃご尤もっとも。それはともかく、ワタシは大悟の後頭部を掴つかんで引き寄せ、更さらに話を続けた。
![「その男、ジョーカー」EPISODE1「卒業」#17|松田悠士郎](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/360541672f4169b09d309921a0d8cde135bcea7b/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F147262213%2Frectangle_large_type_2_6d388963fc2ff19885447ab880b03c45.png%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)