ワタシはゴネる森崎を宥なだめすかし、身支度みじたくを整ととのえて部屋から出て来たMOMOちゃんを伴ともなって玄関へ向かった。聞き込みに行ったアパレルショップで購入したのであろう、やはりピンク一色のジャケットとスカートという出で立ちだが、さすがにもう目が慣れた。ストーカーが電話なりメールなりを寄越よこして来る可能性を踏ふまえて、携帯電話はワタシが預かる事にした。 「ねぇお願いしますよ探偵さぁ〜ん」 尚なおも追いすがる森崎の懇願こんがんを背に靴を履はいたワタシは、振り返りざまにそれまで履いていたスリッパを拾い上げて差し出しながら告げた。 「オタクの協力が必要な時は連絡するから、今日の所は大人しくしてろ。いいな」 またしても青菜に塩状態の森崎を置いて、ワタシとMOMOちゃんは森崎の部屋を後にした。外はすっかり暗くなっていた。腕時計を見ると、午後五時を過ぎている。 「これからどうするの〜?」 可愛
![「その男、ジョーカー」EPISODE1「卒業」#13|松田悠士郎](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/bba83dde478676d4378b0365c4886d3500383f57/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F144218980%2Frectangle_large_type_2_c1ed70264782abe6b5d9e8735073376b.png%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)