「は?」 「はい?」 ワタシと大悟が同時に間抜け面づらでリアクションすると、MOMOちゃんはやおら立ち上がって大悟の手を取り、頬ほほをほんのり赤く染そめて言った。 「好きです」 「は?」 「はい?」 またしてもワタシと大悟が同時に、数秒前と全く同じリアクションをした。MOMOちゃんは取った大悟の手を自らの胸に引き寄せると、凛りんとした声で告げた。 「結婚してください!」 その瞬間、『喫茶 カメリア』の中だけ、時間が止まった。THE WORLD。 漸ようやく動き始めたワタシの脳内に、MOMOちゃんの発言がリフレインした。 結婚してください 結婚してください 結婚―― 「結婚んんんんん!?」 大悟の叫びが、ワタシを現実に引き戻した。時は動き出す。 大悟はその強面こわもて全体をマグマ並みに赤く染め、今にも飛び出さんばかりに両目を見開いて、己の手を固く握ってうっとりと見上げる小柄な女性を見下ろした
![「その男、ジョーカー」EPISODE1「卒業」#14|松田悠士郎](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/ed8d9d0cdf6284e5b8e01a084538874873520d9b/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F144986180%2Frectangle_large_type_2_fc8f349c4ee17ec209ca9dd3de8559a9.png%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)