日本では2006年度から発動することになったユニバーサル・サービス制度だが,海外ではどのような運用になっているのだろうか。海外の通信事情に詳しい情報通信総合研究所グローバル研究グループの神野新・主席研究員に欧米の動向を聞いた(図1)。 負担の拡大で問題化する米国 ユニバーサル・サービス制度をいち早く導入した米国では負担額が徐々に拡大しており,問題となっている。負担額が拡大している理由は,補てんの対象に電話サービスだけでなく,学校や図書館,医療機関への支援,低所得者補助を含めているためだ。2005年度の総負担額は65億ドルに達する。 米国のユニバーサル・サービス制度では,州をまたがる長距離通信(州際通信と呼ぶ)で収入を得ている事業者が負担の対象になる。以前は固定電話事業者だけが負担の対象だったが,IP電話や携帯電話の普及で長距離通信の収入が減少してきたため,現在はIP電話や携帯電話の事業者も