今でこそ、日本酒の蔵元が化粧品や健康食品の事業に参入するのは珍しくないが、日本酒製成量がこれからピークを迎えようとする半世紀近く前には到底考えられなかったことだ。ところが、その時期に、鋭い洞察力で蔵元からバイオ企業へと舵を切った事業継承者がいた。 本社は老舗酒蔵の面影が残る「なまこ壁」の外観 日本型バイオ企業として“世界初”の偉業も どんな事業分野であれ、業界全体として、生産量が右肩上がりで上昇し続けている最中(さなか)に、やがて訪れるであろう急転直下の市場縮小を的確に予測することは難しい。 しかし、業界がまだ浮揚しているそうした時期にこそ、非連続・現状否定型の経営革新を行うべきことは多くの事例が証明している。 今回ご紹介する勇心酒造の5代目当主・徳山孝さん(72)は、まさにそういう経営者だ。 社名が示す通り、日本酒の蔵元でありながら、日本酒が売上に占める比率は1%未満に過ぎず、残り99%
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