極めて短いエッセイコミックで、初出は1999年。従軍慰安婦をテーマに水木サンが「よく従軍慰安婦のバイショウのことが新聞に出たりしているが、あれは体験のない人にはわからないだろうが……やはり“地獄”だったと思う。だからバイショウはすべきだろうナ。……といつも思っている。」*1と語っていることで知られている。 見返して思ったのが、「ピー」と呼ばれた従軍慰安婦が1日に「処理」した人数の意味。1人が受け持つ小屋の前に80人から100人くらいの兵隊が並び、「一人三十分としてもとても今日中にできるとは思われない、軽く一週間くらいかかるはずだ。」*2と水木サンは推測した。この後あきらめて列を離れた水木サンの視線に、「処理」を中断した朝鮮人慰安婦が気づきながらもあわただしく排泄を行なうという、肉体の尊厳を失わされた「地獄」の光景が展開される。 吉見義明『従軍慰安婦』では下士官や兵士を対称にする慰安婦は、多