対自然に留まらない、宮崎駿のアニミズム ーーその者青き衣をまといて金色の野に降りたつべし。失われし大地との絆を結び、ついに人々を青き清浄の地に導かん…… 青いワンピースを身にまとった女の子、ナウシカ。金曜ロードショーで繰り返し放映される、アニメ「風の谷のナウシカ」の主人公である。特別に漫画やアニメが好きな人でなくても、このアニメ作品を視聴したことのある人は多いはずだ。 アニメ版「風の谷のナウシカ」のストーリーはシンプルだ。大昔の人類の戦争により、世界が徹底的に破壊されたあと、荒廃した大地には「腐海」と呼ばれる森が繁茂した。腐海から吐き出される胞子による健康被害を避けるために、人々はいつもマスクをつけて暮らしている。また、蟲と呼ばれる凶暴な生き物たちが人間に襲いかかる。 「風の谷のナウシカ」(1984)より。 辺境の地、風の谷で生まれ育ったナウシカは、草木や動物を愛し、人々の忌み嫌う蟲ともコ