1.壮大な思考実験としての『銀英伝』テーマ 「清潔な専制」と「腐敗した民主主義」の対決の仮構 新帝国の軍事的勝利と同盟の滅亡の必然 戦略と戦術のふたつの概念における前者の優越性 生き残った民主共和主義者たちの苦難の道 「……伝説が終わり、歴史がはじまる」の結語の意味 2.モデルとしての『三国志』、『史記』を越えて 『三国志』 ・・・「三国鼎立」の群雄物語 『史記』列伝・・・複眼的視座で見る群像 『銀英伝』 ・・・両者の「いいとこ取り」としての疑似歴史物語とその知的興趣 3.『銀英伝』本紀ともいうべき壮大なる前史 ◆シリウス戦役 帝国主義的な地球による支配と解放戦争テーマ ◆最大の悪役か?…ルドルフ・フォン・ゴールデンバウム 歴史を一千年逆流させた反動の巨人 故人ながらラインハルトとヤンの共通の(そして最大の?)敵 ◆帝国と同盟の前史 死せるルドルフ五百年の軛と民主共和主義者たちの聖人列伝