一九七〇年代のことだ。妻キャロルとわたしは地方の映画館で、なんともひどい映画を見ていた。あまりのひどさに、わたしは途中でつぶやいた――「こんなところで時間をつぶしてないで、もっとおもしろいことをしたいな。今の時代から滅亡するまでの人類の歴史を書くとか」。キャロルが小声で答えた――「じゃ、書くといいわ」。わたしたちはすぐに席を立ち、映画館を出た。その夜わたしは『生得権*1――地球人の書』(Birthright:The Book of Man)というオムニバス長篇小説の概略を作った。人類の歴史の物語で、超光速航宙を達成したあと、今から一万八千年後に滅亡するまでを描く。 補遺1 〈バースライト・ユニバース〉の成り立ち『スターシップ―反乱 (ハヤカワ文庫SF)』*2 あるときスミスは三千年をなくしてしまったことがある。西暦六〇〇〇年から九〇〇〇年までの歴史で、スミスはこれを背の赤い小型のノートブッ