宇宙に長期滞在中の飛行士は、睡眠・覚醒などの生体リズムを刻む「体内時計」が地上よりも正常化する傾向があることが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究で分かった。宇宙では体内時計が狂ってしまうとの予想を覆す結果だ。長期滞在飛行士の生体リズムの分析は世界初で、将来の火星旅行に向けた基礎データになるという。 若田光一さん、野口聡一さんら日米欧の飛行士数人が、国際宇宙ステーション(ISS)での約半年間の滞在中に24時間の心電図を3回計測。地上での計測値と比較し、約1日周期の生体リズム(概日リズム)がどう変わるかを調べた。人間の体内時計は1日を24時間より少し長めに刻んでおり、太陽光を見ることなどで24時間に修正しているとされる。 計測の結果、飛行前の概日リズムは正常値より長めだったが、ISS滞在中は24時間に近づいて正常化する傾向がみられ、帰還後は再び飛行前の状態に戻ることが分かった。