奈良市の東大寺大仏殿で、明治時代に鎮壇具(ちんだんぐ)(8世紀、国宝)と一緒に出土した人の歯を奈良国立博物館(奈良市)が調査したところ、熟年男性のものとみられることが分かった。 鎮壇具には、正倉院から持ち出された聖武天皇(701~756年)の遺愛品「陰寶劔(いんのほうけん)」「陽寶劔(ようのほうけん)」が含まれていたことが昨年判明しており、50歳代半ばで亡くなった聖武天皇の歯である可能性も指摘されている。 歯は1907~08年、大仏殿修理に伴い、大仏を安置する須弥壇(しゅみだん)を掘った際、敷地を清めるために地下に埋めた仏具である鎮壇具とともに発見された。 最近の分析の結果、右下あごの第1大臼歯(長さ約2センチ、幅1・2センチ)で、大きさや摩耗の具合などから、熟年男性の歯の可能性が高いことが判明した。