芝居じみた仰々しいタイトルである。『死のテレビ実験』とはどんなホラ話が始まるかと思えばあにはからんや。看板に偽りのない内容に驚かされる。 本書の内容を一言で表せば「人はどこまでテレビの言いなりになるか」である。視聴者参加番組に応募してきた人の行動を観察するために、2009年にフランスで行われた実験の詳細な報告書でもある。 基礎になっているのは1960年代にアメリカのイェール大学で行われた社会心理学者スタンレー・ミルグラムが行った「〈権威〉から良心に反する命令を受けた時、個人はどれくらいの割合でそれに服従するのか」(通称・アイヒマン実験)という実験結果である。 この実験は、記憶力に関する実験と称した「科学実験」の権威の下、被験者が「先生役」となって問題を読み「生徒役」がこれに答えていく。回答を間違うと、先生は生徒に電気ショックを与える。生徒が間違うたびに電気ショックは強くなり、最終的には45
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