book, economy | 23:37 | 「戦時統制経済」という通説第二次世界大戦中、総力戦の必要性にせまられて国家が社会のすみずみに侵襲し、なかば計画経済的な「戦時統制経済」が各国でおこなわれるにいたった、そして、そうした「戦時統制経済」の経験が戦後世界の社会民主主義的、福祉国家的な国家体制を準備した。そういうはなしをよく聞く。しかし、この本は、そうした世間の通説に対して真っ向から疑問をつきつける。戦時中の各国政府がそのような体制を志向したのは事実かもしれない。しかし、当の政府にそのような体制を運営するだけの「能力」がほんとうにあったのか?通説の支持者は「計画」の内容からその実施までを含むパフォーマンスの検証をきちんと行ったのか?ソ連の例をみるまでもなく、政府に経済を「計画」し「経営」する能力などありはしないし、実際、戦争計画のパフォーマンスはどれもさんさんたるものだったのではない