■国家間の覇権争いの様相に インターネットの「管理者」を誰が務めるべきかをめぐり、国際的な綱引きが活発化してきている。一元支配を続ける米国に対し、急成長を続けるロシア、中国など新興市場国(BRICs)や、イラン、キューバといった反米諸国が反発するという構図である。それは、インターネットが経済成長や安全保障に直結する時代を迎え、技術者主導で進んできたネットの世界がいや応なしに国際政治に巻き込まれつつある現実をも映し出しているようだ。(ロサンゼルス 松尾理也) BRICsの一角、ブラジルのリオデジャネイロで11月12日から4日間にわたり開かれた国連主催の国際会議「インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)」。インターネット接続の有無が格差を生んでいる現状や深刻化するネット犯罪への対応などが中心議題になるはずだった。最大の注目を集めたのはしかし、米国の一元管理体制の是非をめぐる議論だった。