女優人生50年、李麗仙さんが韓国名にこだわったワケ 「心まで日本に渡したくないという自尊心」 「ハングクサラム(韓国人)」 ずっと日本語でインタビューに答えていた70歳過ぎのベテラン女優が、この時ばかりははっきりとした韓国語で答えた。「では、あなたはどの国の人なのか」という質問に対する答えだった。「国籍は日本。日本で生まれ育ったので、韓国で暮らすのは難しい。保険の恩恵を受けようと思ったら日本で生活しなければならない。でも、心までは日本に渡していない」。そして、その言葉の最後に「血とはそういうもの」と付け加えた。 23日まで大学路アルコ芸術劇場大劇場で上演される舞台『月の家~タルチプ』 (金守珍〈キム・スジン〉演出)の主人公ガンナン役を演じている女優・李麗仙(り・れいせん)さん(71)は在日韓国人3世。日本の現代演劇の先駆者・唐十郎氏の妻であり、女神のような存在だった。 唐十郎は詩人・金芝河