出社すると、机の上に妖しい物が置かれていた。文庫本が2冊あり、表紙カバーには下着姿で微笑む美少女のイラストが描かれている。美人を眺める機会に巡り合えば嬉しいと思うものの、少女を愛でる趣味は無い。 あまり顔を見せないことに対する嫌がらせか、それとも誰かが文庫本を置き忘れたのか。とにかく文庫本を裏返し、表紙が見えないようにしてから電子メールを確認する。日経コンピュータ編集部の記者から「SE本を差し上げます」というメールが来ていた。 「SEについてしばしば書いておられますが、今時の実態をご存じないようです。お渡した2冊を読んでみるとよろしいのではないかと思います」。 この記者は最新技術に強く、取材力も筆力も英語力もあり、人前で話をするのもうまい。なかなかの人物なのだが欠点もあり、その一つは先輩に対する口の利き方を知らないことである。 「確かに最近は取材していないが、日本の情報システム開発現場なら
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