どういうご縁なのか、僕の音楽作品のいくつかはアンビエント・ミュージックというジャンルにカテゴライズされ、一時期はアンビエントという括りに違和感を持っていた僕自身も、最近はそのこと自体にはあまり抵抗を感じなくなって来た。それというのも、僕がいまのようなリズムトラックや明確な旋律のない音楽を作りはじめた90年代は、70年代後半にブライアン・イーノが提唱したアンビエント・ミュージックがヒーリング・ミュージックと混同されていた部分が多くあったからだと思う。今でもそういう風潮はあるかもしれないけど、「アンビエントをやっています」というと「あぁ~、あのぼんやりとした何の主張もない感じのBGMね」という、声にならない声があった。 ヒーリングもアンビエントも、それ以外の多くの音楽に求められるアッパーな高揚感とは全く逆の「音があることによって静寂が訪れる音楽」というダウナーなものを求められている点では同じも
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