☆喪われた化合物の名誉のために(2)~調味料~ 99年夏、「買ってはいけない」という本がベストセラーになり、賛否両論含めた様々な論議を巻き起こしました。筆者の感想をはっきりいえば、もちろんなるほどと思える項目もあるのだけれど、その他であまりに頭の痛い記述が多すぎ、とうてい信用するに値しないというのが正直なところです。それでもこの本の影響力は絶大で、ちょっとインターネットを検索しただけで「買ってはいけない」の引用と思える記述に山ほど出くわしました。言いたいことは山ほどありますが、とりあえず今回は化学調味料を取り上げてみましょう。実はこの調味料は、筆者の商売敵でもある会社の製品なので、あまり弁護してやる筋合いではないのですが(笑)、一化学者として思うところを書いてみます。 「味の素」の主成分(97.5%)はグルタミン酸ナトリウムという化合物です。「買ってはいけない」ではこの化合物が脳細胞を破壊