必要あって、岡村重夫の著書・論文を渉猟しつつありますが、優れた学者だったと改めて思っています。管見の限りでは、日本の社会福祉学が生み出した学者ではピカイチだと思います。 もちろん、私のような認識を持っている人は決して少なくないと見えて、今日でも「岡村理論」をどう継承すべきかについて論ずるタイプの著書などが出版されてもいるところです。ただ、それらの論考の多くは、岡村の議論を咀嚼するので精一杯という印象のものであるのも事実です。 これは重要なことですが、岡村の社会理論を咀嚼するだけでは継承になりません。その限界をきちんと指摘して、どう乗り越えるかを示してこそ継承に値します。現状でそのようなタイプの議論がほとんどないのは、かなり深刻な問題で、このままでは岡村の議論は総括されないまま学説史に埋もれてゆくことになってしまうでしょう。 その点からいえば、社会福祉学の研究者は、M.ウェーバーのいう、学問