SOSを出せず「共倒れになる親子」 2019年6月、東京・練馬区の自宅で、農林水産省の元事務次官(76)が、精神科に通院していた無職の長男(44)を殺害するという痛ましい事件が起きました。裁判では、発達障害に悩む息子を何とか支援しようと努力してきた両親が、社会や地域にSOSを出すことができずに孤立していく過程も明らかになりました。 このような問題は決してこの家族だけのものではなく、同じような境遇で孤立している家族は今も、日本全国に多く存在します。 私は精神保健福祉士として1995年から25年間にわたり、精神疾患や障害を抱えながら地域で暮らす患者と、その家族を支援してきました。ここではこの事件のように「共倒れになる親子」の事例として、統合失調症を患う中年男性と、男性を支える立場だった高齢の父親が、2人そろって精神科への入院を余儀なくされたケースを紹介します。
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