[Part1] 広がる電子ブックの定義 画面の端に指をおく。本のページをめくるように、その指を滑らせてみる。すーっと、画面のなかの「紙」がまるで本物のようにめくれあがる。さっきまで見ていた文字が白地の裏に透けてみえる。 iPadで利用できる電子書籍ソフトiBooks。紙を強く意識したつくりだ=小杉豊和撮影 Kindleの画面が、光を抑えた和紙としたら、これは、白さが際だつコート紙といえるだろうか。アップル社のiPadは、これまでの電子ブックとは全く異質の端末だった。 4月3日早朝、米国・サンフランシスコ。ダウンタウンの一角にあるアップルストアの前には、そのiPadの発売を待つ行列が1ブロック先まで伸びていた。 先頭から2人目、前日の夜8時から並んだというアラ・イスマイエルはクウェートからやってきた。「出張に合わせて、予約をしました。はやく触ってみたいね」。その後ろのアンドレス・スコーベルは