昭和の時代のことだが、永六輔だったか天皇に和服を着せようと提言していた。日本の天皇なのに和服姿というのはないという穿った話だった。宮中儀礼や婚礼の装束も和服のうちでもあろうが、いわゆる和服ではないだろう。天皇の着流しなどは想像もつかない。天皇家は諸事欧風である。日常の食事には和食も当然あるだろうが、かしこまった席では欧風と決まっているはず。明治時代が作り出した日本というのはそういうハイカラなしろものなのだが、平成も十七年にもなるとなんとなく近代日本というか日本というイメージが随分変わってきたような気がする。 昭和天皇は生物学者でもあった。戦中も自室にダーウィンの肖像を掲げていたと聞く。その業績は同じく生物学者である今上陛下の業績とともに新江ノ島水族館(参照)に展示されている。科学者としての昭和天皇のありようは、北一輝をして「クラゲの研究者」と呼ばわしめたほどだ。 昭和天皇はダーウィニスト、