東京を舞台に映画のような物語が歌詞に紡がれてきた。希望、憧れ、望郷、都会の愛。そして――。 1946年から2014年までにヒットした約5千曲を対象に、タイトルや歌詞に「東京」や都内の地名などが含まれる曲を調べたところ、少なくとも158曲あった。 終戦直後の40年代は、「夢淡き東京」など「夢」とともに東京が歌われた。歌謡曲と東京の文化の関係を分析した舌津智之・立教大文学部教授は「戦後復興の象徴として、東京は現実以上に明るく歌われた」。その後、60年代にかけて特に多いのが、「男女が自由に恋愛できる都会の象徴だった」(舌津教授)という「銀座」だ。 集団就職で東京に若者が集まった60年代は、故郷を思う歌が増えた。その後、東京は70~80年代に消費都市として成熟。♪空を飛ぶ 街が飛ぶ――と東京のエネルギーをダイナミックに歌った「TOKIO」は80年に発売された。社会学者の太田省一さんは「東京が最も憧