同性愛書籍は? ホルモン剤投与は?多様な性の在り方への社会的理解が進む中、拘置所や刑務所といった刑事施設での性的少数者への対応の是非が議論を呼んでいる。東京拘置所が男性拘置者に同性愛が描写された書籍の閲覧を禁止した措置について弁護士会が「人権侵害だ」と警告したほか、男性から性別変更した女性拘置者に同拘置所が女性ホルモン剤の投与を認めない決定をしていたことも判明。刑事施設を所管する法務省も改善に向けた動きを進めているが、識者は「対応が遅れている。専門家の意見をより取り入れるべきだ」と指摘している。 ◇ 東京弁護士会は平成27年10月、昏酔強盗罪で服役中の男性受刑者(45)が東京拘置所での未決拘置中、同性愛が描かれた書籍の購入を申請し、同拘置所が許可しなかったのは憲法が保障する図書閲覧の自由に反する人権侵害だとして、再発防止を同拘置所に申し立てた。 同会によると、男性は22年5月~10月、男性