(空から真っ赤な石が落ちて来る) 新日本古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 十三日の夜は、心易き同士《どし》集まり、語りける様《やう》は、「西江寺《せいごうじ》の什物《じふもつ》、佛判《ぶつはん》と言へる者有り。諸/\の災難の払いになる由、借り持て居間に掛けばや。如何に」と申し合わせ、取りに遣はしける。 使ひにハ出で行くに、何とやらん、足の縮む様《やう》にて、到る事叶わざりけれバ、平太郎、「自《ミずか》ら参らん」とて、集まりし人〻にハ、「留主《るす》し給はれ」と頼ミて出で行きけるに、其の中に有りし平五郎と言へる者、氣強き男なれバ、「供《とも》セん」とて、同じく出で行きぬ。 然《しか》るに、道なる薮の傍《かたへ》を行きけるに、空より稲妻の如くに光りて、真赤き石