ブックマーク / kihiminhamame.hatenablog.com (681)

  • 神田明神宮① ~『金草鞋』初編中巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    一行は神田明神に参詣します。 今回は右ページの文章を中心に解説します。 【左右ページ全体】 【右ページ詳細】 ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 金草鞋. 1編 - 国立国会図書館デジタルコレクション ※画像は拡大できます。 【原文】 桜田御門より入りて、和田倉御門《わだぐらごもん》を出、常盤橋御門《ときハばしごもん》を町筋《ほんてうすじ》へ出て、十軒店《じつけんだな》より通筋《とをりすじ》を真つ直ぐに、筋違《すじかい》の昌平橋《せいへいばし》を渡り、神田の明神《みやうじん》へ参詣する。 拝殿に宮子《みやづこ》が水洟《みづばな》を垂らし居たるを見て、 狂「水洟《ミづつぱな》 神田《かんだ》[「擤《か》んだ」と掛ける]の宮は お捻《ひね》りの 紙さあでかく 溜《た》まるべいから」 案内 「もし、其処《そこ》へお屋敷の女中たちが来た。 見なせ

    神田明神宮① ~『金草鞋』初編中巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/12/29
    何気に結構凄いことを言っていますね。二人の訛りがきつくって助かりましたね。意味が分かれば危ない人と思われますね。「ぼた餅をカナヅチでつぶしたような顔」って一体どんな顔何でしょう?ちょっと気になります。
  • 大名行列② ~『金草鞋』初編中巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    前回の続き、左ページの文章を中心に解説します。 【左右ページ全体】 【左ページ詳細】 ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 金草鞋. 1編 - 国立国会図書館デジタルコレクション ※画像は拡大できます。 【原文】 侍 「新五左衛門《しんござえもん》殿、御覧なされ、向かふへ美しそふな婦人が参ります。 兎角《とかく》女の歩く尻付きと申す物ハ、悪く無い物で御座る」 「如何様《いかさま》御尤《ごもつとも》も千万《せんばん》、拙者と貴公ハ胴服中《どうぶくちう》で御座る。 はいほう/\、脇寄れ/\、馬ハ溝《どぶ》へ叩き込め、車ハ屋根へぶち上げろ、女ハそつと脇へ御退《おの》きなさい」 「向かふから、生酔《なまゑ》ひめがひよろ/\して失《う》せ居《を》る。 忌々《いま/\》しい奴だ、おいらに気を悪くさせやァがる」 〇 下谷上野町《したやうへのまち》常陸屋《ひ

    大名行列② ~『金草鞋』初編中巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/12/29
    下ネタ全開の展開と挿絵の面白さに、庶民生活が垣間見れてとても勉強になるとともに、自分の中で思い描いた江戸時代後半のイメージとかなり違っていました。最後の作者の口上は今で言う番宣の始まりでしょうねえ。
  • 大名行列① ~『金草鞋』初編中巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    はい、みなさまお待たせしました、え?待ってなかった? 今回から中断していた『金草鞋』の続きを少し読み進めたいと思います。 どうやら、中巻の一ページ目を読んだ所で飽きて中断していたようです(笑) というわけで、中巻の二ページ目から再開です! ※中巻の一ページ目はこちら。kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com 今回と次回は霞が関あたりで大名行列に遭遇する場面です。 今回は右ページで次回に左ページの文章を中心に解説します。 【左右ページ全体】 【右ページ詳細】 ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 金草鞋. 1編 - 国立国会図書館デジタルコレクション ※画像は拡大できます。 【原文】 愛宕《あたご》の下通りを真つ直ぐに、虎の御門を入り、霞が関辺り、御大名屋敷の煌《きら》び

    大名行列① ~『金草鞋』初編中巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/12/29
    地図を見るのが好きなので、地図付きでの解説なので感激いたしております。「愛宕下通を真っ直ぐ進むと新シ橋」とありますが、これが今の新橋の地名の由来なのでしょうか?また霞ヶ関も昔から役人の街なのですね!!
  • まとめ『金草鞋』初編上巻 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    はい、どうも、バッテリーが膨らんで破裂寸前の北見花芽ですヾ(๑╹◡╹)ノ" 次回から、『金草鞋』初編の続きを、ちょこっと読み進めたいと思いますヾ(๑╹◡╹)ノ" だいぶ久しぶりなので、内容をすっかり忘れてると思うので、というか、私も忘れていたので、復習を兼ねて、初編上巻のまとめ読み用リンクですヾ(๑╹◡╹)ノ" kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhama

    まとめ『金草鞋』初編上巻 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/12/20
    このお話は内容もさることながら、江戸時代の風俗などを私の興味があることを教えていただき、勉強になりました。今回物語の「金草鞋」の解説の再開ということで次回より楽しみしております。
  • まとめ『玉水物語』 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    どうも、漏電期間中の北見花芽ですヾ(๑╹◡╹)ノ" 今回は『玉水物語』のまとめ読み用リンクですヾ(๑╹◡╹)ノ" この作品、読み終わるまでに半年もかかった超大作ですwヾ(๑╹◡╹)ノ" 『浦島太郎』とも共通する所があるので、ぜひ読んでいただきたいなと思いましてヾ(๑╹◡╹)ノ" kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com

    まとめ『玉水物語』 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/12/20
    浦島太郎のお話と同様に「玉水物語」を楽しまさせていただきました。以前ブログで拝読いたしていましたが、改めて読み返すと以前見えなかったこととか発見できました。「玉手箱」は特にインパクトがありました。
  • まとめ『浦島太郎』 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    このブログは、ほんのちょっとだけ充電期間に入ります(๑╹◡╹)ノ" なので、次のシリーズが始まるまで、過去に取り上げた作品をご覧になってお待ちくださいヾ(๑╹◡╹)ノ" 今回は検索からご覧になってくださる方が多い『浦島太郎』のまとめ読み用リンクをどうぞ ヾ(๑╹◡╹)ノ" 一話の分量はそれほど多くないので、まとめてだと案外すぐ読めちゃいますよヾ(๑╹◡╹)ノ" kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.h

    まとめ『浦島太郎』 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/12/20
    改めて浦島太郎のお話を読まさせて頂きました。私たちが普通に知っている内容の違いに吃驚しましたが、何故浦島太郎が箱を開けた途端に白髪のおじいさんになってしまったか、その理由が分かり、勉強になりました。
  • まとめ『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』)、まとめ読み用リンクですヾ(๑╹◡╹)ノ" kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhama

    まとめ『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/12/07
    長編の連載、お疲れさまでした。楽しく読ませていただきました。この作品では読み物としても面白かったのですが、当時の風習や身分制度ことなども書かれており、大変勉強になりました。次回も楽しみしております。
  • あとがき『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』)[完] - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 稲生平太郎《いのうへいたろう》ハ、藝州《げいしう》の人にて、其の年十六歳、妖怪の為に悩まさるゝ事、三十日。 然れども、怡然《いぜん》として抱かず、怪異 竟《つひ》に退くに至る。 所謂《いわゆる》、勇悍《ゆうかん》の士也と。 吾が養寿大夫人は、安藝少将吉良朝臣の女也。 寛政年間、平太郎、江府に至る。 夫人召して、其の怪異の終始を問ふ。 平太郎、時に六十餘歳、後にその始末を記し、その形状を圖に表して夫人に呈す。 然れども、藝矦《げいこう》深く此の事の世に聞こえん事を悪《にく》む故を以《も》て、秘して出さず。 発端に西州と云はるも又、此の故 歟《か》。 今、茲《ここ》に文化六 己巳《つちのとみ》六月、故《ゆえ》有りて其の

    あとがき『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』)[完] - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/12/07
    「全て作り話とも思えません。」とありますが、私も同感です。何かしらの体験はあったと思います。あと小倉外臣の猪飼さんの気持ちはわかります。「見せたらいけない」と言われても、見せたくなりますものね!!
  • 三十日目その3『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (魔王一行の行列) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 斯《か》くて、立派に暇《いとま》申し、「我が供、行列を見給へ」と立ち出でける。 平太郎も「是を見送るべし」と縁に出ける。 互ひに拝せし其の時、平太郎が頭、俄《にわ》かに重くなりにけるが、五郎左衛門押したると覚えしとぞ。 平太郎は、「今更、欺《あざむ》かれしか」と口惜しく、大の力を出し、聲掛けて頭《かしら》を擡《もた》げしが、早や五郎左衛門、庭に飛び下りて、早くも彼の並み居し供の駕籠《かご》の内に入るとぞ見へて、形ハ更に見へざりける。 髭《ひげ》の生えたる大いなる足を駕籠の内より出しつゝ、並み居たる供、一度にとつと立ち上りしが、彼の髭足ハ更に見へず。※脱文の箇所は他の写などを参考に補いました。 其

    三十日目その3『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/12/07
    平太郎さん、最後の最後に化け物にしてやられましたね。それにしても魔王というのにセコイですね。大空に向かって帰っていく化け物一行は一体どこに行くのでしょうか?月?違う次元?変なところが気になります。
  • 三十日目その2『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (平太郎の氏神) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 扨、其れより前に出し上下着たる男、ふと立ち出て申す様《やう》は、 「某《それがし》の名ハ山《サンモト》五郎左衛門《ごろうざえもん》と申して、天下の魔王にて候《さふら》ふ也。 三界《さんがい》の國〻を廻りて、勇氣強き人の歳十六になるを誑《たぶら》かす事、打ち續きて、百の数を積もり候へバ、魔王の頭《かしら》と成《な》り申す也。 然るに、當時、我と同じく、其の業《わざ》を為《な》しける真野悪五郎《しんのあくごろう》と申す者有り。 是と共に彼の頭と成るの争ひを為し候ふ也。 然《さ》れバ、此の五郎左衛門ハ此の度《たび》、追《つい》に八十五人を續け申せども、八十六人に當たる其許《そのもと》を誑かす事能《あた》

    三十日目その2『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/12/07
    化け物界の覇権争いに巻き込まれて、平太郎さんもお気の毒でしたね。しかし化け物の世界も熾烈な競争があって大変ですね!!しかも平太郎さんとの会話でもあるように権謀術数を使うこともあるようですね。
  • 三十日目その1『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (化け物のボスらしき男がやってくる) (囲炉裏の灰が吹き上がる) (灰が丸い頭のようになって、両角にコブが出来る) (壁にトンボのように突き出た目と口が現れる) ※この挿絵はどちらを描いているか不明確。 (平太郎の嫌いなミミズが這い出て来る) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 晦日《つごもり》ハ色/\怪敷《あやしき》事有りけるが、先ず、此の夜の始めには五つ時頃、人品骨柄《じんぴんこつがら》宜敷《よろしき》四十ばかり男、浅黄《あさぎ》の上下《かみしも》に二刀《にとう》違《たが》へに差し、「許し給はれ」と案内して、裏の方ゟ入り来たりぬ。 平太郎ハ見しより、 「是なん、兼ねて思ひ設けたる化け物ゝ長《おさ》なるべし。一刀に打ち止めん」 と立ちまち刀を抜き、横

    三十日目その1『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/12/07
    いよいよ大詰めですね。平和的解決を提案するも同時に嫌がらせをするのは、どっかの国みたいですが、どうなるかはドキドキします。今回の化け物、キャプテン・ウルトラに出てくるバンデル星人を思い出しました。
  • 二十九日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (風と共に星の光のような物が現れる) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 廿九日、「此の七月も今日《けふ》明日《あす》ばかりになるに、化け物は止まず、如何《いか》にや」と思ふ処《ところ》に、今日ハさして事無く、只、何とやらん心地悪しく、風吹きて家内に吹き渡り、星の光の如くなる物現れ、後ハ蛍火の散り乱れたる如く見へしとぞ。 【現代語訳】 七月二十九日、平太郎が、 「この七月も、残すは今日と明日だけになったというのに、まだ化け物が出て来るのが止まない、どうしたものか」 と思っていた所、今日は大したことは起こりませんでした。 ただ、何となく気分が悪く、風が家の中に吹き渡り、星の光のような物が現れ、それから、蛍のお尻の光が散り乱れたみたいに見えたという事です。

    二十九日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/12/01
    おっしゃる通りで、確かに嵐の前の静けさかも知れませんね。そう思うのは何となく気分が悪いこと、家の中に風が吹き、星のようなものがチカチカ光ること、これらは大惨事の前の何かしらのサインかもしれませんね。
  • 二十八日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (部屋の中が虚無僧だらけになる) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 廿八日の夜にハ、遥かに尺八の音聞こえ、程無く虚無僧《こもそう》と見えて、地を踏みもせで、家内に入り来たりぬ。 其の後は、同じ様《さま》の虚無僧打ち續きて、数多《あまた》入り来たりし程に、居間の中一圓に虚無僧となりつゝ、平太郎臥したに傍《かたへ》に皆、寝《いね》てありける。 夜明ケて後は、其の跡も見えず。 【現代語訳】 七月二十八日の夜には、はるか遠くに尺八の音が聞こえ、間もなく虚無僧《こむそう》が地面を踏みもせずに、すーっと家の中に入ってきました。 それから、同じような虚無僧が続いて、たくさん家の中に入ってきました。 居間中が虚無僧だらけになって、平太郎が寝ている側で、虚無僧はみんな

    二十八日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/12/01
    化け物の方も怖がらせよりも嫌がらせが主になってきましたね。部屋の中が虚無僧だらけというのは、似たようなことをどこかのTV局が、やっていたような気がします。ひょっとしてこれが原点かもしれませんね。
  • 二十七日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (部屋が曇って闇のようになる) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 廿七日の昼の頃、居間の内、曇るが如くにて、次㐧/\に闇の如くなりしが、程無く赤く成りて、輝く様《やう》になりぬ。 後は直物《ひたもの》黒白打ち変わりて、目眩《めくるめ》く様《さま》に覚えしと也。 夜に入りてハ、門の内、拍子木の音聞こえ、又は、蚊帳《かや》の内に、女の声聞こえける。 然《さ》れども、全て形は無し。 【現代語訳】 七月二十七日の昼頃、居間の中が曇ったようになり、徐々に闇のようになりましたが、すぐに赤くなって、輝いているようになりました。 それから、ひたすら、暗くなったり、明るくなったりして、平太郎は目がチカチカしました。 夜になると、門の中で拍子木の音が聞こえ、また、蚊帳《

    二十七日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/11/29
    視覚と聴覚への攻撃はそれが長時間続くと神経がやられてしまうそうで、どこかの国が拷問で似たようなことをやっていました。やはりこの化け物は攻めるべきツボが分かっているようで、相当賢いのではと思います。
  • 二十六日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    > (腸を垂らして飛び回る女の首) ※この挿絵に腸は描かれていない。 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 廿六の夜は、床の下、地築《ぢつき》に響きして、やがて何処《ゐづく》とも無く、殊《こと》の外《ほか》大いなる女の首、飛び来たりける。 顔の色ハ青白く、首よりハ長き血腸《ちわた》を引き出し、気味の悪しき眼付きにて、少し笑ひつゝ、間の内 彼方此方《あちこち》と鳥の如く飛び廻りしが、後、平太郎が臥したる上を摩《す》り廻り、気味悪しかり故、やがて捕らゑんとすれバ、忽《たちま》ち消え失せ、又、程無く元の如く血腸引き廻りしが、後ハ平太郎も捨て置きて寝《いね》けると也。 【現代語訳】 七月二十六日の夜は、床下が地固めをしているように響き、やがてどこからともなく、思

    二十六日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/11/29
    今回はこのお話の中で最も気味の悪い一夜で、気の弱い私だったらきっと卒倒してしまうほどです。恐らく平太郎さんは血まみれの腸を垂らした首を捕えて、害獣駆除のように処分しようと思ったのでしょうねえ。
  • 二十五日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (縁側の下に生きる死人) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 廿五日の夜は、裏の方に用事有りて縁の下《もと》に下《お》りけるが、何やらん覚えず踏み附けし故、驚き見るに、死人の様《やう》にて、その面《おもて》ハ恐ろしく、丸眼《まろめ》を開きつゝ、目《ま》起こしをせしが、樵虫《きこりむし》の飛ぶ如く音有りしとぞ。 斯《か》くてハ死人とも覚へざれど、肉冷やゝかにして和《やわ》らかく、其の気味の悪しさ、言ふべからず。 扨《さて》、踏み附けし足ハ、其の肉附きて、もち/\とせし故、裏の方には至る事もならで、漸《やうや》く居間に帰りて、臥しける。 其の後ハ、足に附きて来たりし肉、両股《りやうもゝ》の間に入りて、冷やゝかな事限り無かりしが、終《つひ》に捨て置きて寝入り

    二十五日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/11/29
    冷たい肉が移動する?何とも気持ちが悪いことで、昔のTVアニメ「妖怪人間ベム」のオープニングを見ているようです。その得体のしれないゾンビの肉をそのままにして寝る平太郎さんって、ある意味鈍感力が強いかも!?
  • 二十四日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (数千匹の蝶が飛び回る) (石塔が青い火を出して燃える) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 廿四日の昼は、大い成る蝶一ツ飛び来たり、此処彼処《こゝかしこ》を飛び廻りしが、程無く小さくなると見えて、数千の小さき蝶と化し、居間の内一面に飛び廻りしとぞ。 夜に至りてハ行灯《あんどう》灯《とぼ》しけるに、其の行灯 忽《たちま》ちに石塔と変じける。 「不思議なる術《わざ》かな」と見しに、やがて塔の元より青き火、凄《すさ》まじく燃え出て、石塔は焼け失せ、元の如く行灯と成りにける。 誠に操《あやつ》りの一入《ひとしほ》手際なるが如く也とぞ。 【現代語訳】 七月二十四日の昼は、大きな蝶が一匹飛んで来て、アチコチ飛び回ったのですが、そのうち小さくなったかと思ったら、数

    二十四日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/11/29
    1羽の蝶が数千匹の蝶に変化させたり、夜の行灯→石塔の変化も度胸試しでは苦杯続きで、せめて妖術の凄さを平太郎さんに見せつけようとする化け物の精一杯の行動かもしれません。化け物も承認欲求が強いですね。
  • 二十三日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (天井が大きなハチの巣に変わる) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 廿三日にハ、隣の権八所、厳《きび》しく鳴り響きしが、権八は外へ出し故、平太郎ハ至りて漸《やうや》く戸口を開きて見しが、椀器《わんき》又ハ書物など、間の内に取り散らし、人の騒ぎし跡の如く有りしとなん。 然れバ、権八も帰りしに、葦簀《よしず》の天井、低《ひき》く下がりしに、刀にて試しけるが、何事も無し。 次㐧/\に元の如く戻りぬ。 夜に入りて、平太郎が宅の天井、大い成るハチの巣と變じ、蟹の如く泡を吹き出し、黄成る水を吐き出しける。 誠に珎《めづ》らしき大い成る巣を見しとぞ。 【現代語訳】 七月二十三日は、隣の権八の所で、激しく音が鳴り響きました。 しかし、権八は外出していたので、平太郎が

    二十三日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/11/23
    化け物は平太郎さんの家ではなく、権八の家にターゲットを変えたのでしょうか?それにしても平八は肝心な時にはいないので、化け物たちには「こいつには勝てる」と甘く見られているかもしれませんね!!
  • 二十二日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (自分で勝手に部屋を掃除するホウキ) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 廿二日朝は、納戸の内より棕櫚帚《ししろはうき》一、自《おの》づから居間に出し、間の内を細かに掃《は》き回りしと也。 「朝には相應の化け物」も笑ひぬ。 其の夜は、臺所の方にて掛け声する様《やう》に鳴り響きしと也。 【現代語訳】 七月二十二日の朝は、納戸の中から棕櫚箒《しゅろぼうき》が一、自分で勝手に居間に出て来て、部屋の中を細かく掃き回りました。 平太郎は、「いかにも朝にふさわしい化け物」と笑いました。 その夜は、台所の方で掛け声のような音が響き渡りました。 【解説】 朝からホウキが独りでに掃除を始めますが、以前の唐臼のように当に掃けていたかどうかは疑問ですね。 kihimi

    二十二日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/11/22
    今回は嫌がらせなのか、それとも「これまで付き合ってくれてありがとう。お礼に掃除をするね!!」という感謝のしるしなのか、分かりませんが、今後この物語は一体どういう展開を示すのか、次回作に期待できますね。
  • 二十一日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (壁に映った人影が意味不明な講釈をする) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 廿一日の夜は、ふと影の如く人の形壁に映り、顔形《かほかたち》鮮やかに見へけるが、見臺《けんだい》を前に置きつゝ、高らかに書物を講じける。 然れども、言葉の訳も詳《つまび》らかならず。 可笑《をか》しく怪しき事也。 【現代語訳】 七月二十一日の夜は、ふと影のように人の姿が壁に映り、顔もはっきりと見えました。 その人影は、見台《けんだい》を前に置きながら、高らかにを読み上げました。 しかし、何と言っているのかさっぱりわかりません。 ヘンテコで不気味な出来事です。 【解説】 今回は変なだけで、特に被害があったわけでもないですから、どうってことないですね。 平太郎の反応すら書かれて

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    Kitajskaya
    Kitajskaya 2021/11/22
    二十日目の色仕掛けに失敗したので、化け物の嫌がらせもいよいよネタ不足となってしまいましたね。平太郎さんもこの程度ならと安心しきっており、今回は登場していませんね。次回の嫌がらせはどうなるか楽しみです。