韓国で「伝説の島」とされてきた東シナ海の暗礁が中韓紛争の火種になりつつある。海中に没し、厳密には島ではないため、双方が「領土」とはみなさず、これまで大きな波風は立たずにきた。それが尖閣問題の余波で中国がにわかに管轄権を強調し始め、韓国世論が中国の「海洋覇権」に警戒感をあらわにしている。韓国にとって日中対立が中韓の寝た子を起こす事態に見舞われている。 ■「竹島争い冷めぬ中、中国に強硬姿勢」 焦点となっているのは、韓国最南端の島から149キロ、中国最東端の島から247キロにある「離於(イオ)島」(中国名・蘇岩礁)だ。 中韓の排他的経済水域(EEZ)が重なる海域にあたる。中韓は1996年以来、16回にわたってEEZの画定交渉をしてきたが、交渉はまとまらず、この暗礁がいずれのEEZ内にあるか未画定のままだ。 そんな中、9月24日の中国メディアの報道が韓国に強い警戒感を呼び起こすことになった